相続税未納でも安心!相続土地国庫帰属制度とは?

相続税未納でも安心!相続土地国庫帰属制度とは? 不動産について

親が亡くなり、誰も住まなくなった家や土地を相続することがあります。実際に相続して活用に困り、そのまま放置されることもあります。

そんな困った不動産を相続した時に、活用できる国の制度があります。

それが「相続土地国庫帰属制度」です。

  1. 相続土地国庫帰属制度とは
  2. 申請ができる人
  3. 申請ができない土地 (申請の段階で直ちに却下となる土地)
    1. 建物の存する土地
    2. 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
    3. 通路その他の他人による使用が予定される土地が含まれる土地
    4. 土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地
    5. 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
  4. 帰属の承認ができない土地
    1. 崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
    2. 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
    3. 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
    4. 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地
      1. (1)民法上の通行権利が妨げられている土地
      2. (2)所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地
    5. 通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する以下の土地
      1. 災害の危険により、土地や土地周辺の人、財産に被害を生じさせるおそれを防止するための措置が必要な土地
      2. 土地に生息する動物により、土地や土地周辺の人、農産物、樹木に被害を生じさせる土地
      3. 国による整備(造林、間伐、保育)が必要な森林(山林)
      4. 国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地
      5. 国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき申請者の金銭債務を国が承継する土地

相続土地国庫帰属制度とは

土地利用ニーズの低下などにより、土地を手放したい相続人が増加しています。また、相続をきっかけに土地を取得するが、所有者の負担感が増し、管理不全化を引き起こすこともあるため、相続土地国庫帰属制度があります。この制度は、所有者が土地を手放して国庫に帰属させることを可能にし、所有者不明土地の発生を抑制するためのものです。

申請ができる人

〇 申請ができるのは、相続や遺贈(相続人に対する遺贈に限られます。)により土地の所有権を取得した相続人となります。
〇 相続登記によって申請者が所有権登記名義人となっている場合には、申請書に相続人であることを証する書面を添付する必要はありません。相続登記がされていない場合であっても申請ができますが、その場合には、申請書に相続人であることを証する書面(P. 32)を添付する必要があります。
〇 土地が共有地である場合には、相続や遺贈によって持分を取得した相続人を含む共有者全員で申請する必要があります。この場合、他の共有者については、相続以外の原因により持分を取得した場合であっても申請することができます。

申請ができない土地 (申請の段階で直ちに却下となる土地)

建物の存する土地

相続土地国庫帰属制度では、土地のみが対象となり、建物は対象外となっています。その理由は、建物の管理コストが土地よりも高額であり、老朽化による建替えや取壊しが必要になるからです。そのため、この制度を利用する場合には、建物に関する費用や手続きについては別途考える必要があります。

担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

相続土地国庫帰属制度を申請する際には、土地に抵当権や使用権、賃借権などの権利が付いている場合、国が土地を管理する際に、それらの権利者の利益を守らなければなりません。そのため、申請をする前に、土地にどんな権利が付いているかを調べる必要があります。もし、権利がある場合には、申請ができない場合があります。

通路その他の他人による使用が予定される土地が含まれる土地

相続土地国庫帰属制度を利用する際には、土地所有者以外の人が使用している土地については、国と使用者の間で調整が必要になることがあるため、承認申請はできません。つまり、その土地が他の人に使われている場合は、この制度は使えないということです。

土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地

特定有害物質によって土地が汚染されている場合、その土地の管理や処分に制限が生じる上に、除去のために高額な費用がかかることがあります。また、周囲に害悪を与える可能性もあるため、相続土地国庫帰属制度の申請はできません。

境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

土地の所有権について、隣接する土地の所有者との境界や、他の人が所有権を主張する土地について、申請を行うことができません。これは、国がその土地の管理を行う上で障害が生じるためです。つまり、誰がその土地の所有者かについて争いがある場合、国がその土地を管理することが困難になるため、申請を行うことができないということです。

帰属の承認ができない土地

崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの

崖の基準(勾配30度以上かつ高さ5メートル以上)に該当する崖がある土地は、普通に管理するには多大な費用や労力が必要になるため、申請を行うことができません。

土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地

以下のア・イの2要件全てに該当する土地については、帰属の承認をすることができません。
ア 工作物、車両又は樹木その他の有体物が存する
イ その有体物が土地の通常の管理又は処分を阻害する

除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地

ある土地の下に、通常の管理や処分をするためには取り除かなければならない物がある場合(例えば地下に埋まっている物など)、その土地を国庫に帰属させることはできません。

隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地

(1)民法上の通行権利が妨げられている土地

土地には民法上の通行権利があるものがありますが、その権利が妨げられている土地については、帰属の承認をすることができません。具体的には、以下のような場合が該当します。
(a) 公道につながっていなく、他の土地に囲まれている土地(袋地)
(b-1) 池沼、河川、水路、海を通らなければ公道に出ることができない土地
(b-2) 崖があって土地と公道とに著しい高低差がある土地

(2)所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地

所有者以外の人が土地を使用することによって、土地所有者が持つ権利を実際に行使することができなくなっている場合、その土地の帰属を国に移すことはできません。ただし、その妨害が少なくて土地の管理や処分に支障をきたさない場合は、例外的に承認されることがあります。

通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する以下の土地

災害の危険により、土地や土地周辺の人、財産に被害を生じさせるおそれを防止するための措置が必要な土地

土地に関する法律によると、以下の3つの要件すべてが該当する土地については、帰属の承認をすることができません。
・土砂の崩壊、地割れ、陥没、水又は汚液の漏出その他の土地の状況に起因する災害が発生し、又は発生するおそれがある
・その災害により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体又は財産に被害が生じ、又は生ずるおそれがある
・その被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)を講ずる必要がある。

土地に生息する動物により、土地や土地周辺の人、農産物、樹木に被害を生じさせる土地

以下のア・イの2要件、全てに該当する土地については、帰属の承認をすることができません。
ア 鳥獣、病害虫その他の動物が生息する土地
イ 当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがある土地(軽微なものを除く。)

国による整備(造林、間伐、保育)が必要な森林(山林)

以下のア~ウの3要件、全てに該当する土地については、帰属の承認をすることができません。
ア 主に森林として利用されている土地
イ その土地が存する市町村の区域に係る市町村森林整備計画に定められた、以下の(a)及び(b)の事項に適合していない土地
(a) 造林樹種、造林の標準的な方法その他造林に関する事項
(b) 間伐を実施すべき標準的な林齢、間伐及び保育の標準的な方法その他間伐及び保育の基準
ウ イの(a)及び(b)に適合させるために、追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められる土地

国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地

国が所有する土地で、法律に基づいて売却や処分された際に、国が通常の管理に必要な費用以外に追加的な費用を負担する必要があると予測される場合、帰属の承認はできません。つまり、国が負担する費用が多くかかりすぎると、土地を所有することができないということです。

国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき申請者の金銭債務を国が承継する土地

法律で定められた手続きによって、所有権が国に移った土地で、その土地の前の所有者が支払うべき金銭債務があり、国がそれを引き継ぐことになる場合、帰属の承認をすることができません。つまり、国が払う必要がある費用がある場合は、土地を所有することができないということです。

コメント

Copied title and URL